百花繚乱
諸子百家をはじめ国内外の古典をお勉強しております。
現在は『老子道徳経』を精読中でございます。
ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い奉ります。
I will try and challenge myself to peruse various domestic and foreign classics books.
Currently, I am reading "Tao Te Ching". I appreciate your support and encouragement.
我想挑戰閱讀各種古典書籍,現在在讀『道德經』
請您指導和鞭策

【老子】成象第六

谷神不死。是謂玄牝玄牝之門。是謂天地根。綿綿若存,用之不勤。

谷神(こくしん)()せず。(これ)玄牝(げんぴん)()う。玄牝(げんぴん)(もん)(これ)天地(てんち)(こん)()う。綿綿(めんめん)として(そん)するが(ごと)く、(これ)(もち)いて()きず。

万物を養う神は死ぬことはありません。(万物の)生成の源の入口です。
この万物生成の源の入口は"天地の根元"を意味します。途絶えることなく続いて存在しているかのように思います。
幾ら万物を生成しても、(天地の生成は限りなく続くので)使い果たしてしまうということなどはありません。


「谷神不死。是謂玄牝。」
cf. 谷神[こくしん]


万物を養う神。

白川静.著『字通 普及版』平凡社, 2014, pp705
他にも以下のような説がある。

"谷神"は谷に宿る神のことで、女性器を暗示する。

蜂屋邦夫.訳注『老子岩波書店, 2008, pp34]



谷の入口の形。左右から山がせまり、谷口が低く狭まった形を示す。渓谷の間は山気の深奥なるところであるから、神霊の依るところとされ、民間的な信仰の対象でもあった。

cf. 玄牝[げんびん]


万物の根元。生成の源。

白川静.著『字通 普及版』平凡社, 2014, pp578
他にも以下のような説がある。

玄[げん]は薄暗くて、計り知れぬほど奥深いありさま。'牝[ヒン]'は母性、生殖器。「谷神」が尽きることなく万物を生み出すことを「牝」と言ったが、その作用の不思議さは把握できないから「玄」としたもの。

蜂屋邦夫.訳注『老子岩波書店, 2008, pp35


「是謂天地根。」
cf. 天地根[てんち-の-こん]


<玄牝>の牝は牡に対し女性であり、母性であり、したがって物を生み出す力である。ゆえにその「門」が「天地の根」であることは容易に想像できる。

小川環樹.訳注『老子中央公論新社, 1997, pp20
他にも以下のような説がある。

「根」とは男根・女根と同じで、万物を産み出す生殖器。万物の根源のこと。

蜂屋邦夫.訳注『老子岩波書店, 2008, pp35


「綿綿若存,用之不勤。」
cf. 若存[ぞん-するが-ごと-く]


存在はしているが、はっきりとは見えないさま。王弼は「存在していると言おうと思えば、その形が見えない。存在していないと言おうと思えば、万物はそこから生まれてくる。だから、ほそぼそと存在しているようなものだ」と注している。

蜂屋邦夫.訳注『老子岩波書店, 2008, pp35


cf. 王弼[おうひつ](226-249;中国)
中国、三国時代の魏の思想家。山陽(現.河南省)の人。字は輔嗣[ほし]。幼くして高名をはせ、何晏[かあん:?-249;中国]とともに玄学(=老荘の学)の始祖といわれる。『周易注』を撰し『老子道徳経注』を著す。
玄学[げんがく]
中国、魏・晋時代におもに流行した学風。三玄の学ともいう。
当時は,社会的生活を離れて、学理・芸術・人物評価などを論議するいわゆる清談が盛んに行われたが、その学理面では『老子』『荘子』『易』を題材として、真存在や真理などに関する抽象的議論が尊ばれた。


勤[キン, ゴン, つと-める]
左側の字(音;キン)は「廿(動物の頭)+火+土」で、燃やした動物の頭骨のように、熱気で乾いた土のこと。水気を出し尽くして、こなごなになる意を含む。勤は、それを音符とし「力」を加えた字で、細かいところまで力を出し尽くして余力がないこと。それから、こまめに働く意を表す。

  1. つとめる。(つとむ。)つとめ。いそしむ。こまめに働く。精を出す。また、そのこと。
  2. こまごまと行き届くさま。

労[ロウ] / 尽[ジン]


iireiさま (2017/08/15 コメントより)
@「玄牝」については、どの人の解釈でも、女性のもつ次世代の者たちへの甚大な恩が語られているようです。まあ、セックスのことを書いているという見方もありますが。

@無私の話題、『荘子』のなかの「虚空の舟」というたとえ話に
詳しく書いてあり、『老子』の補足になっています。

もし、人が乗った舟が自分の舟に当たってきたら、当然自分は怒るが、もし人の乗っていない舟が当たったら、怒りようがない・・・この虚空の舟こそ、無私の状態なのでしょう。



KIKU (2017/08/16 コメントより)
> iireiさま
古代の人々にとって、"生命の誕生"は本当に神秘的なことだったのでしょうね。

「虚空の舟」というお話は、伺ったことがございます。『荘子』が出典だったのですね。<無私>の概念が、とても明確になりました!
いつも的確な助言をくださり、本当にありがとうございます。



ぐーたさま (2017/08/17 コメントより)
iirei先生、菊様
「虚空の舟」は素晴らしいお話ですね。これは感銘を受けました。

普段の生活で、マナーの悪い人についイラっとしてしまう事があります。その怒りをもっとコントロールしなければと課題に思っておりましたが、この「虚空の舟」のように受け取ればうまく怒りをコントロールできるように思えました。

取り入れてみます!目標は「仕事中も無私で在り続けること」です( ̄^ ̄)ゞ



(2017/08/15 執筆記事 転記)